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目次    前章: 7 国際DOI財団    次章: 9 業務手順

 

8 登録機関

 

この章では、DOI®システムにおける登録機関の役割と機能を、運営や技術に関わる要件・方針を含めて、説明します。現在の登録機関とそれぞれの担当分野を示す一覧はここから入手できます。

© 国際DOI財団  •   最終更新日: 2016年11月2日

 

8.1 役割
8.2 登録機関のビジネスモデル
8.3 登録機関の非独占権と制約事項
8.4 登録機関になる
8.5 登録機関とIDFの正式な関係
8.6 登録機関の料金体系
8.7 登録機関の運営上の要件と技術的要件

 

8.1 役割

登録機関は登録者にサービスを提供します。サービスにはプレフィックスを割り当てること、DOI名を登録すること、登録者がメタデータやステートデータを宣言し保守するにあたって(つまりDOIシステムを利用するするにあたって)必要な基盤を提供すること等が含まれますが、例えばメタデータからDOI名への検索機能を持つ関連データのデータベースを管理する等、DOIシステムが直接関与しない付加価値サービスも含まれます。

登録機関は顧客層のために働くDOIシステムの1モジュールと考えることができます。新たな登録機関をいつでも加えることができるため、新たなユーザーコミュニティを追加して、そのコミュニティに合ったサービスを提供しながらシステムをモジュール式に拡大させることができます。コミュニティの定義は漠然としていますが、何らかの組織構造(公共、民間セクター、非営利、規制機関等)のもとで共通のアプリケーション分野や関心を共有する集団といえます。追加されたモジュール(登録機関)の活動には次のものがあります。

以下、登録者と登録機関と国際DOI財団の役割を要約して紹介します。

登録者:

登録機関:

IDF:

 

8.2 登録機関のビジネスモデル

登録機関はIDFが定める方針と技術規格に準拠しなければなりませんが、自身の事業運営のため独自のビジネスモデルを自由に開発できます。「何でも通用する万能のモデル」は存在しません。登録機関には営利団体もあれば非営利団体もあります。DOI登録を提供する費用は登録機関によって提供されるサービスに含まれ、区別されない場合があります。考えられるビジネスモデルの例には、割り当てられるプレフィックスの数やDOI名の数に基づいた明確な課金、数量割引、使用割引、段階的課金、またはこれらの組み合わせ、関連付加価値サービスに基本的登録機能を含める間接的課金、他資金源からの内部補助金などが含まれます。

登録機関は、IDFの協定と方針に準拠する限りは、他のDOIシステム関連サービスを登録者へ無制限に提供できます。これらのサービスは、例えばデータ、コンテンツ、または権利管理における付加価値サービスの組み合わせを含みます。登録機関は自身が収集したメタデータを活用するサービスを開発することもできます。

 

8.3 登録機関の非独占権と制約事項

特定の地理的領域や広範なアプリケーション分野(例えば「オーディオ」)にまたがるDOI名登録権利の独占権は、通常はいかなる登録機関にも付与されません。例外もあり得ます。例えば登録機関が閉鎖的なコミュニティのためのサービスとして運営することを命じられ、そのコミュニティ以外には登録サービスを提供しない場合もあります。DOIアプリケーションはしばしば重複し、デジタル世界では何通りもの分類が可能であるため、独占的協定は困難です。現時点における唯一の例外は、DOI登録と公式EU文書の管理を扱うEUの出版事務局です。

永続性のある識別子を維持するため、DOIアプリケーションは通常、引用リンクやメタデータ管理等の付加価値サービスを提供することによって単なるDOI登録以上の価値を提供します。登録機関は、これらの付加価値サービスとユニークセリングプロポジション(USP:ある商品のみが持つ独自の強みや魅力)を提供しながら独立した事業体として運営します。DOIサービスにある程度の一貫性を持たせるため、登録機関になるための申請書は、予想される事業の影響に照らして評価されます。登録機関の市場やサービスに重複が予想される場合は、重複や競合の可能性をそれぞれの登録機関に知らせます。登録機関には、正当な事業利益を確保しながらDOIシステム全体の理解を促す形で問題に対処することが求められます。

 

8.4 登録機関になる

登録機関の会員権は、(a)一般会員として既にIDFに参加しており、(b)登録機関として任命されるためIDF理事会に申請を行って合格し、(c)IDFとの登録機関協定に署名した組織のみに付与されます。

登録機関は通常、何千何百万ものDOI名を登録し、多数の顧客とサービスを持つことでスケールメリットを達成します。アプリケーションの幅が狭い登録機関は単独の事業体として存続できない可能性がありますが、互いに協力しながら(例えばバックオフィス業務を分担しながら)発展できる可能性もあります。条件にあった登録機関が見つからないコミュニティはIDFに連絡し、DOIシステムを利用する方法について、また新たな登録機関アプリケーションを開発すべきか否かについて話し合うべきです。

登録機関アプリケーションの開発を視野に入れてIDFの一般会員になることに関心を寄せる組織は、IDFに連絡して予備協議を行ってください。第7章に記載された詳しいIDF会員情報も参照してください。

登録機関の任命は財団の理事会の裁量で行われます。DOI名を登録するだけで、登録したDOIを活かした付加的サービスを提供しない申請が受理され、合格する見込みはまずありません。申請を検討する場合、サービスや運営の実例として現存する登録機関を検討することを強くお勧めします。登録機関の形態(営利組織、政府組織、非営利組織)は問われません。登録機関となる可能性のある組織の機能の例は下記を含みますが下記に限定されません。

 

8.5 登録機関とIDFの正式な関係

登録機関はIDFと協定を結びます。一般協定のコピーを入手できます

登録機関協定では以下に記すような事柄を取り上げています(正確な文言については協定の全文を参照してください)。

1. 権利の付与

2. RAの義務

3. IDFの義務

4. 権利と知的財産

5. 変更手続き、保証、免責、責任

6. 解約手続き(下記を含む)

 

8.6 登録機関の料金体系

DOIシステムは原価回収システムです。ISO評議会決議17/2012では「ISO 26324のための登録認定機関の運営にあたってIDFによって原価回収の原則に基づき料金が課せられることを認める」とされています。共通のDOIインフラ(全登録機関を代表して国際DOI財団により管理)にかかる費用は各登録機関に対する課金で賄われますが、登録機関は独自の商業モデルを採用して自身のサービスにDOI名登録を組み入れることができます。登録機関は、割り当てるDOI名や管理するDOI名の数に関わりなく、年に一度IDFに対し支払を行います。これには全ての費用(DOI財団の会員権と登録機関の料金)が含まれています。このモデルの狙いは、説明の簡潔さ、相対的な予測可能性、登録済DOI名数からの独立性、年ごとの予測可能な安定性、ならびにモデリングと予算編成のしやすさという利点を確保することです。毎年の料金は次式に基づくモデルで計算され、年初までにIDFの年次予算過程の一部として承認されます。

[A]: IDFセンター経費(下記BおよびCを除く)
[B]: IDFによって支払われる技術サービス契約の運営経費
[C]: IDFによって支払われるHandle料金にかかる経費
[D]: 合意された支払準備金を維持するために必要な調整(+/-)
[E]: IDFが登録機関でない資金源から得る収入(例えば非登録機関会員費)
[F]: 登録機関全体で負担する合計額 = [A] + [B] + [C] + [D] – [E]
[G]: 当年の登録機関数
[H]: 登録機関ごとの経費 = [F]/[G] その年固定の単一料金

料金は当年の1月と7月に支払う2回の均等分割払いで請求されます。この計算には以下に記す例外と補正が適用されます。

第7章に記載された詳しいIDF会員情報も参照してください。

 

8.7 登録機関の運営上の要件と技術的要件

以下に記す運営上の関係が存在します。

認可された登録機関は登録者にプレフィックスを発行し、その新しいプレフィックスをHandleシステムに登録することを解決システム提供者に依頼します。登録機関は最小限の記述的メタデータを格納するシステム環境を保守します。このシステム環境はHandleシステムと一体化される場合があります。DOIシステム全体の健全性(確実で一貫性のある結果をユーザーに提供すること)を可能な限り高い水準で維持するため、それぞれの登録機関から提供されるサービスには品質保証対策を盛り込まなければなりません。それには、正確で最新のステートデータを保証し、またDOIカーネルとDOIデータモデルの規格に準拠し一貫性のあるメタデータを保証しなければなりません。登録機関は、メタデータとステートデータの保守業務を登録者(もしくは登録者の許可を得た代行者)に限定するため、十分なセキュリティを提供しなければなりません。

登録機関が自身のDOI名のためローカルHandleサービスを実装し運営することを選ぶ場合は、CNRIが当該登録機関に必要なソフトウェアと技術指導を提供し、Handleサーバーの設置、運営を支援します。CNRIはHandleシステムの管理者としてシステムの拡張性について責任を担います。CNRIはまた、IDFと協議の上、システムの成長に結び付く将来的開発を実装し、システムの精緻化に向けて必要な改良を施します。

運営上の要件や技術的要件の詳細については第9章:業務手順を参照してください。

 

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