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1 はじめに

 

© 国際DOI財団  •   最終更新日: 2016年11月2日

 
1.1 ドキュメンテーション
1.2 歴史
1.3 規格
1.4 商標
1.5 序論 (ISO 26324)
1.6 概説
      1.6.1 DOIシステムのコンセプト
      1.6.2 DOIシステムのコンポーネント
      1.6.3 DOI名の構文
      1.6.4 DOI名の解決
      1.6.5 DOI®データモデル
      1.6.6 DOIシステムの実装
1.7 DOIシステムの利点
 

1.1 ドキュメンテーション

DOIハンドブックはDOI® システムに関する主要な情報源です。DOI 10.1000/182はハンドブックの最新版を表します。いくつかの題材は本書の該当部分にも引用されている単独のファクトシートで詳しく説明されています。

DOIウェブサイトにもその他の公開情報、ニュース、イベント、会員限定情報が掲載されています。

A DOI文書の概略図も入手可能です。

(システム開発初期に使用されていた)修飾されてない単独の用語「DOI」は混乱を招く可能性があるため現在推奨されておらず、修飾語を付けてDOIシステムの構成要素(コンポーネント)に言及するか(例えば「DOI名」:DOIシステムの中で一意な指示対象を指定する文字列)、システム(「DOIシステム」:仕様に基づく割り当て、解決、指示対象記述、管理等によるコンピュータ認識可能識別子の応用としてのDOI名の機能的展開)全体に言及するのが好ましい用法とされています。

 

1.2 歴史

DOIシステムは出版業界の3つの事業者団体(国際出版連合、国際科学技術医学出版者協会、米国出版者協会)の共同作業から始まりました。活字出版に端を発するものですが、デジタルへの収束とマルチメディア利用に向かう動向を踏まえ、デジタルネットワーク上でコンテンツの識別を管理する汎用性のある枠組み(フレームワーク)として構想されました。システムは1997年のフランクフルト図書展で発表されました。1997年にはDOIシステムを開発、管理する国際DOI®財団(IDF)も設立されました。

IDFは当初よりCorporation for National Research Initiatives(CNRI)と技術提携を組み、DOIシステムのデジタルネットワークコンポーネントとしてCNRIによって開発された Handleシステムを使用してきました。IDFとCNRIの技術提携は現在も続いています。

IDFは1998年からindecsプロジェクト(1998~2000年)と密接に連携し、そこから数々の取り組みが継続しています。indecsフレームワークはDOIのデータモデルと ボキャブラリマッピングフレームワーク(VMF)の基礎となっています。IDFは現在VMFウェブサイトをホストし、VMF管理に参加しています。IDFのデータディクショナリはVMFの中の1名前空間です。

2000年にはDOIシステム初の応用(登録機関Crossrefによる電子記事の引用リンク)が始まりました。以来、他の分野でも登録機関が任命されています(例えば娯楽業界資産の管理、データ、複数言語)。

2000年にはNISOを通じてDOIの構文が規格化されました。2010年にはDOIシステムがISO規格として承認されました。

参考文献一覧にはDOI構想の最初の10年間の進捗状況を説明する書類がいくつか記載されています。旧バージョンのDOIウェブサイトに掲載されていた資料は現在アーカイブに保管されています。

 

1.3 規格

本書「DOIハンドブック」への適合は該当する関連公式規格への適合を保証します。

DOIシステムは、国際標準化機構すなわちISO(委員会ISO TC46/SC9「識別とドキュメンテーション」担当)によりISO 26324、デジタルオブジェクト識別子システムとして規格化されました。本規格は2010年11月に承認され、2012年5月に公表されました。(2012年5月10日発行のISOプレスリリースを参照してください。)本国際規格はデジタルオブジェクト識別子システムの構文、記述、および解決機能要素やDOI名の作成、登録、管理に関する一般原則を定めています(DOIはデジタルオブジェクト識別子(Digital Object Identifier)の頭字語)。本国際規格はデジタルオブジェクト識別子システムの構文、記述、および解決機能要素を実装する具体的な技術を指定するものではありません。ISO 26324によってDOIシステムは国際規格として採用され、IDFはISO 26324登録認定機関に指定されました。(他の識別子規格と同様、DOIシステムの公的規格を作ることは、登録認定機関を通じて追加される名前空間を作り、管理することを意味します。これは誰もが許可を得ることなく仕様を読んだり仕様に準拠できる他の技術規格と大きく異なる点です。識別子に関してはそのような理屈は通用しません。例えば車のナンバープレートの仕様を知っているからといって、仕様に従ってナンバープレートを作り、関係当局に登録せずに有効な免許を所有していると言っていいわけではありません。)

DOI構文は米国情報規格化機関の規格ANSI/NISO Z39.84-2010です。これは2000年に初めて公表され、大文字/小文字の区別をなくすため2005年に改訂されました。それまで大文字/小文字の区別は一度も実装されてなかったため(第2章:付番、第4節:大文字と小文字の区別参照)、この変更を行うにあたって下位互換性の問題は生じませんでした。後のISO規格26324(2012年)には構文仕様が盛り込まれています。NISO規格に記載されていた構文の符号化に関する補足的詳細は本書「DOIハンドブック」の第2章、第5節:文字セットと符号化に現在記載されています。ISO規格は拡張可能なメタデータスキーマの詳細も取り上げており、NISO規格になかった永続性等についても保証しています。

DOIはinfo-URI名前空間の中で登録されたURIです(IETF RFC 4452、パブリック名前空間で識別子を有する情報資産のための「info」URI制度)。DOI名はhttp:プロキシサーバーを通じてURL(URI)として表現することもできます。

DOIシステムはHandleシステムを実装します(IETF RFC 365036513652)。

Norman Paskinは Todd Carpenter編集(ISBN13: 978-0-8389-8744-5) 、ALCTS (American Library Association Publishing、米国図書館協会出版)出版の The Critical Component: Standards in the Information Exchange Environment (2015)収録の The Digital Object Identifier: From Ad Hoc to National to Internationalで DOIの標準化の歴史/ケーススタディを執筆しました。 PDF電子ブック(ISBN:978-0-8389-8745-2)とEPUB(ISBN:978-0-8389-8746-9)のセット販売は、ALA Store onlineからもご利用いただけます。

 

1.4 商標

DOI®、DOI.ORG®及びshortDOI®は国際DOI®財団 (IDF)の登録商標です。IDFは国際規格ISO 26324を正しく実装するユーザーが、かかる実装を表示するため商標を無料で使用することを許可します。ただし、この許可はそのような形での使用にのみ当てはまります。IDFは、下記を条件とし、ISO 26324を実装するソフトウェアやその他の製品またはサービスを作る者にDOI商標を無料で使用することを許可します。

会社、組織、報道関係者の便宜を図るため、上記の条件に従ってインターネットで使用するDOIロゴ(サイズ変更可能)はここ からダウンロードできるようになっています。このロゴは、会社、製品、またはサービスに対するIDFの支持/推奨をほのめかすものとして使用してはなりません。

 

1.5 序論(ISO 26324)

下記序論はISO 26324からの抜粋です。

デジタルオブジェクト識別子 [DOI®] システムはあらゆる種類のオブジェクトの永続的で一意な識別のための基盤を提供します。

DOIは「デジタルオブジェクト識別子(Digital Object Identifier)」の頭字語であり、「デジタルオブジェクトの識別子」ではなく「オブジェクトのデジタル識別子」を意味します。DOIシステムは1998年に国際DOI財団によって着手され、当初はISO/TC46/SC9の参加者と共同で開発されました。情報・文書分野に応用されるものであり、ISO/TC46/SC9参加者との共同作業であったことから、2004年には見込みのある作業項目として導入され、2006年から2010年にかけてさらなる開発がなされました。

DOIシステムはインターネット上で機能するよう設計されています。オブジェクトにはDOI名が永久的に割り当てられます。オブジェクトにDOI名を割り当てることにより、インターネットにおけるオブジェクトの場所やオブジェクトに関する情報の場所等、オブジェクトの最新情報に至る解決可能で永続性のあるネットワークリンクが提供されます。オブジェクトに関する情報は時間の経過にともない変化する可能性がありますが、オブジェクトのDOI名は変化しません。DOI名は、DOIシステムの中で当該DOI名によって識別されるオブジェクトに関する1種類以上のデータの値(URL、eメールアドレス、他の識別子、記述的メタデータ等)まで解決できます。

DOIシステムは自動化されたサービスとトランザクションの構築を可能にします。DOIシステムの用途は、情報・文書の場所とアクセスの管理、メタデータの管理、電子取引の促進、あらゆる形のデータの永続的で一意な識別、営利的・非営利的取引を含み、ただしこれらに限定されません。

DOI名が付いたオブジェクトの内容はDOIメタデータで明確に記述します。体系的で拡張可能なデータモデルに基づき、記述やサービスに応じて望ましい精度と粒度のメタデータをオブジェクトに対応付けることができます。

DOIシステムの範囲は、指示対象の内容の種類(形式等)ではなく、DOIシステムが提供する機能と使用状況によって規定されます。DOIシステムはDOIアプリケーションからなるネットワークの中で一意な識別、永続性、解決、メタデータ、意味的相互運用性を提供します。

 

1.6 概説

この概説はDOIシステムを手短に要約したものです。DOIシステムの各種側面に関する明確な情報については本書の該当する章を参照してください。 ファクトシート デジタルオブジェクト識別子システムに関する主要情報も参照してください。

デジタルオブジェクト識別子(DOI)は、デジタルへの収束とマルチメディア利用に向かう動向を踏まえ、デジタルネットワーク上でコンテンツの識別を管理する汎用性のある枠組み(フレームワーク)として構想されました。その主な特徴として、永続性、ネットワークアクセス性能、他識別子との相互運用性、共有耐障害性基盤、複数の形態をとる識別子の解決能力等を挙げることができます。DOIはISO 26324として規格化されています。

DOIシステムは登録機関によって実施されます。登録機関は基礎となるDOIフレームワークを用いて様々な用途に使われる識別子を分野別に提供します。例えばCrossrefは学術出版業界のDOIを管理しています。DataCiteは学術的データセットを参照、共有するためDOIを提供しています。エンターテイメント識別子レジストリ(EIDR)は、映画・ビデオ業界で撮影後の編集、放送、デジタル配布、報告に使われる識別子と関連メタデータを提供しています。

DOIシステムはネットワークを意識し相互運用性を踏まえて設計されているため、DOIを使って様々な現代的アプリケーションを容易に作ることができます。例えばDOIシステムは多数の業界で企業や国の境界を越えた出版、報告に利用されています。セマンティックウェブアプリケーションという新しい分野でもDOIシステムが利用されています。

 

1.6.1 DOIシステムのコンセプト

DOIは「デジタルオブジェクト識別子(Digital Object Identifier)」の頭字語であり、「オブジェクトのデジタル識別子」を意味します。DOI名はデジタルネットワークにある存在(エンティティ)の(場所ではなく)識別子であり、デジタルネットワーク上で管理される情報の相互運用可能な交換と永続的で作動可能な識別のためのシステムを提供します。DOI名はどんな存在(物理的存在、デジタル的存在、抽象的存在)にも割り当てることができ、主に関心のあるユーザーコミュニティで共有したり知的財産を管理するために使われます。DOIシステムは相互運用が可能となるよう設計されています。つまり、既存の識別子/メタデータ制度を使用したり既存の識別子/メタデータ制度とともに機能するよう設計されています。DOI名はURL(URI)として表現することもできます。

DOIシステムは1998年に国際DOI財団(複数の出版事業者団体によって立ち上げられた会員制非営利組織)によって着手され、後ほどISO 26324として規格化されました。ユーザーはDOI登録機関に資料を登録するか、登録機関を作るためのコミュニティを開発することによって、DOI登録機関が提供するサービスに参加できます。既存のDOI名は無料で解決できます。DOI名を新たに登録する費用は、登録機関から提供されるDOI使用サービスによって異なります。登録機関は全体的なDOI方針に準拠しながら独自のビジネスモデルを自由に提案できます。登録機関はそれぞれのコミュニティや用途に適したルールを採用します。

世界中で拡大する登録機関連合を通じて今日まで何百万ものDOI名が割り当てられてきました。例えば4,800余りの出版者・学会が学術出版物の相互引用に Crossref のアプリケーションを利用しています。データセンター国際連合 DataCite はDOIシステムを使用しています。 そしてエンターテイメント識別子レジストリ(EIDR) は映画・放送資産にDOI名を適用しています。

DOIシステムはHandleシステム®(インターネット上で確実な名前解決を可能にする汎用グローバルネームサービス)とindecsフレームワーク(オントロジーに基づく汎用コンテクスチュアルデータモデル構造)を実装しています。

どのようなデジタル環境であっても情報管理には一意な識別子(名前)が不可欠です。ある1つの状況の中で割り当てられた識別子は、識別子の割当者に相談することなく別の場所(もしくは時間)で見られ、再利用される可能性がありますが、割当者が前提としていることが他の人にも伝わるという保証はありません。識別子の永続性は「未来との相互運用性」というコンセプトの延長線にあると考えることができます。また、識別子を発行した割当者の直接管理下にないサービスは当然ながら恣意的なものであるため、相互運用性には拡張性も求められます。DOIシステムはどのようなデジタルオブジェクトにも適用可能な汎用的な枠組み(フレームワーク)として考案されており、体系的で拡張可能な識別、記述、解決手段を提供します。DOI名が割り当てられた存在(エンティティ)はどのような論理的存在でも表現できます。

 

1.6.2 DOIシステムのコンポーネント

DOIシステムは複数のコンポーネントをひとつにまとめたすぐに使えるシステムを提供します。

 

1.6.3 DOI名の構文

DOI名の構文は命名機関と委任による曖昧な文字列の構造を規定します。どんな既存識別子でも収容できる「容器」を提供します。DOI名にはプレフィックスとサフィックスという2つの構成要素があり、プレフィックスとサフィックスによって「/」文字で区切られたDOI名が形成されます。区切り文字「/」の後ろに続く部分、すなわちサフィックスは、既存の識別子であってもよく、登録者が選ぶ一意な文字列であってもかまいません。区切り文字「/」の前の部分(プレフィックス)は一意な命名機関を表します。DOI名の長さに制限はありません。

どんなエンティティにもDOI名を割り当てることはできますが、エンティティは体系的なメタデータで正確に定義しなければなりません。DOI名自体は所有者が変わってもそのまま永続し、一旦割り当てられると変わることはありません

DOI名の登録を望む組織にはプレフィックスが割り当てられ、組織は複数のプレフィックスを持つことができます。プレフィックスの後ろ(フォワードスラッシュで区切る)にはエンティティを識別するサフィックス(プレフィックスに対し一意なもの)が続きます。登録者を表すプレフィックスと登録者によって付与された一意なサフィックスの組み合わせにより、DOI名の集中的割り当ては回避されます。

登録者がISBN等の既存標準識別システム番号をDOI名に組み込むことを望む場合は、その番号をサフィックスとして使用することによってDOI名に組み込むことができますが、この場合は2つのシステムによって同一のエンティティが正確に識別されるよう徹底しなければなりません

詳細については第2章:付番を参照してください。

 

1.6.4 DOI名の解決

解決とは、識別子を入力(リクエスト)としてネットワークサービスへ送り、これと引き換えに特定のエンティティに関する1つ以上の最新情報(ステートデータ)を、例えばオブジェクトの場所(URL)を、出力として受け取るプロセスです。解決によって識別子と出力の間に間接的な結び付きが成立します。解決コンポーネントはデジタルネットワーク上でDOI名から関連データへの方向転換を実現します。初期の応用は単一の場所(URL)への解決で、永続性のためのツールを提供していました(URLが変更される場合でもDOI名は引き続き機能し、新しいリンク先へリダイレクトします)。ただし、より有用な解決は複数の関連データ(例えば複数の場所、メタデータ、共通サービス、拡張可能な割当者定義データ)への解決かもしれません。DOIシステムで使われている解決ツールはHandleシステムです。これには世界的な拡張性、完全なUnicode文字サポート、安全性等、他のメカニズムを凌ぐ利点があります。

DOIシステムにおけるHandleシステム実装は、DOIシステム応用のための機能と拡張された技術的基盤によって補完されてきました。Handleシステムには関係を表すための枠組みを規定する制約がありません。DOIシステムはコンテンツ管理の目的で制約を加えるHandleシステムの1応用です。DOIシステムでは意味論的に相互運用可能なデータディクショナリを用いて制約が規定されます。

詳細については第3章: 解決を参照してください。

 

1.6.5 DOI® データモデル

DOIシステムのデータモデルはデータディクショナリとこれを適用するためのフレームワークからなります。データディクショナリとフレームワークから、DOI名が何を表すかを定義し(データディクショナリ使用)、DOI名が互いにどう関係しているかを定義するための手段が得られます。これにより意味論的な相互運用性が提供され、ある1つのコンテクストから生まれた情報を可能な限り自動的に別のコンテクストで使用することが可能となります。

DOIシステムでは基礎となるオントロジーから作られた相互運用可能なデータディクショナリを使用します。データディクショナリは既存メタデータ要素セットとの相互運用性を最大限保証し、用語を有意義な形に分類できる仕組みになっています。このため、ある種のDOI名はどれも特定のサービスとの関連付けを通じて1つの用途の中で予測可能な振る舞いをします。これはHandle解決の機能と体系的なデータアプローチを一元化する手段を提供します。DOI名がこのデータモデルを多用する必要はありませんが、今後多くのDOI名が多用すると予想されます。

一貫性のある論理的な世界観を提供するオントロジー論理データモデルは、知識表現に対する従来の分類学的アプローチとは異なり、厳格な親子階層構造に追従しません。用語は複数の親から意味を継承でき、より複雑な関係を維持できます。相互運用可能なデータディクショナリは様々なコンピュータシステムやメタデータ制度からの用語を収容し、用語の正式な相互関係を明らかにします。 Linked Content Coalitionボキャブラリマッピングフレームワーク(VMF)などIDFはこのアプローチに沿って数々の取り組みに参加しています。ボキャブラリマッピングフレームワーク(VMF)は既存RDA/ONIXフレームワークをリソースリレータとカテゴリの包括的ボキャブラリに拡張します。それらのスーパーセットは出版者/製作者、教育、書誌/遺産分野の主要規格で使用されています(CIDOC CRM、DCMI、DDEX、DOI、FRBR、MARC21、LOM、ONIX、RDA)。

>詳細については第4章: データモデルを参照してください。

 

1.6.6 DOIシステムの実装

DOIシステムは登録機関連合を通じて実装されています。登録機関は母体である国際DOI財団(IDF)によって策定/開発された方針やツールを使用します。IDFは、DOIシステムに関わる知的財産権を保護する(所有もしくは登録者に代わって許諾する)DOIシステム管理団体です。IDFは登録機関と協力し、DOIシステムコンポーネントの基礎的技術規格を運用し、システムになされた改善(DOI名の作成、保守、登録、解決、方針策定等)が全てのDOI名登録者にいきわたるよう徹底しています。また、DOI名規格の実用化にあたって第三者の許諾が要求されることがないよう徹底しています。DOI名に遭遇するユーザーは誰でもDOI名解決を自由に利用できます。

DOIシステムには応用分野の要求を満たしながら識別・解決サービスを提供する柔軟性があります。ただし、場合によってはコミュニティの要求(科学的データ等)に応じるため独自の社会的技術的構造を構築する必要があるため、これらのサービスは「箱詰め」された状態で届くわけではありません。何を識別するか、識別される2つの物が「同じ物」であるのか(ないのか)に関するルールは、DOI名の具体的用途に応じて登録機関が決定します。これは大きな柔軟性と力のある識別システムを提供しながら、明確な構造化メタデータ層の重要性を高めています。これがなければ、識別子は基本的に特定の用途外でまったく意味を持ちません。

IDFは、合意済みの管理、範囲、方針基準を通じて「交通規則」のようなルールを定めています。技術的基盤(解決のメカニズム、プロキシサーバー、ミラー、バックアップ、中央ディクショナリ)と社会的基盤(永続性の約束、フォールバック手順、自立的モデルによる費用回収、システムの共同利用)も提供しています。IDFは規格団体ではありませんが、中央管轄機関であり、また整備保守機関です。システムの規格化はISO 26324で行われており、ISOは同規格のISO登録認定機関としてIDFを任命しています。IDFは登録機関を通じてシステムを使用する権限を委任、供与しており、登録機関は独自のアプリケーションを開発でき、それぞれのコミュニティに適した「独自ブランド」としてDOIシステムを運用できます。

 

1.7 DOIシステムの利点

DOIシステムは独特の機能を提供します。

DOIシステムを実装する利点として内部コンテンツ管理が円滑化するほか、迅速で拡張性のある製品開発が可能になります。製品開発を簡単で低費用なものにする4つの重要な利点があります。

過去10年間にわたり、様々な分野でDOIの利点を定量化したり支持する報告書が公表されたほか、ネットワークにおける永続的な識別子の必要性を議論する報告書が公表されました。報告書はここに保管されています。

 

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DOI_disc_logo ®, DOI®、DOI.ORG®及びshortDOI®は国際DOI®財団 (IDF)の登録商標です。